「業者さんが揃えてくれたいい材料で、僕らが手間ひまをかけて作ったお菓子なのに、見た目が悪いだけで捨ててしまうのは、もったいないなぁと常々考えていたんです。だったら、形が悪いことを正直にお客様にお知らせして、“それでも、いいよ”って思ってくれる方々に販売したらどうだろうって思いついたんです」
そんな神田さんの思いから生まれたのが、この“もったいないもん”。通常商品と味はまったく変わりませんが、見た目がちょっぴり悪い分、お値段は手頃に。お菓子の内容はその日の状況によって変わるため、常に同じ商品が出ているわけではありません。ですが、「ロートンヌ」をよく知る常連客の間にはすこぶる好評で、今では店頭に並ぶとすぐになくなってしまうほど大人気とか。
「日本語の“もったいない”は、今や地球資源や環境を守る合い言葉。“もったいないもん”のネーミングは、お察しの通りこの言葉からつけました。パティスリーは捨ててしまうものを再利用できるし、お客さんにはよりお手頃な価格でお菓子を購入してもらえる。双方にとって、メリットがあります。また、今この“もったいないもん”をユニセフに申請しています。申請が認められたら、売り上げの30%を食料に困っている国の子供たちに寄付したいんです」
“もったいないもん”のほかにも、神田さんは捨ててしまうものを再利用するお菓子を考えています。それが、割れてしまったマカロンを黒糖のシロップに漬けてからオーブンで焼き上げる、“マカロンラスク”です。マカロンよりも固めのザクっとした歯触りの後に、黒糖の甘い香りが口の中にふんわり広がり、マカロンともラスクとも異なる新しいおいしさです。
「近日中に商品化したいと思っていますが、なかなかロスがでなくって(笑)。それはそれで有り難いことですね」と、神田さん。
このようなものを使い作られるお菓子には、神田さんの“食べ物を大切にしてほしい”という思いが込められている。
「スタッフたちは大切にお菓子を作ってほしいし、ロスをできるだけ出さないようにしてもらいたい。また、出てしまったものも大切な食べ物のひとつだと認識してほしいんです。そして、お客さんにも食べ物を大切にするという気持ちを持ってもらえたら嬉しいですね」

形に問題があるお菓子を詰め込んだ「もったいないもん」は、作り手と食べ手の“食を大切にする思い”から生まれたもの。“自分で食べるものだから、おいしさが同じならかまわない”というお客さんも多く、今ではあっという間に売り切れてしまうほど。

カラフルなマカロンは、プレゼント用にも大人気のアイテム。商品として店頭に出すには、表面がきれいに焼き上げてあることが絶対条件だ。

現在、開発中の“マカロンラスク”。かけたり、ヒビが入ってしまったマカロンを黒糖のシロップに漬け込み、オーブンで焼き上げている。紅茶はもちろん、日本茶とも合うほっこりとした味わいは、老若男女が楽しめるおいしさだ。
店舗詳細
住所:東京都東村山市秋津町5-13-4
問い合わせ:042-391-3222
営業時間:11:00〜21:00 水曜休


スーパースイーツ編集部 副編集長K
フリーランスのライター&エディターとして、スイーツ関係を中心に、料理やお酒、旅などの記事を手がける。
フランスの地方菓子の持つストーリーに心惹かれ、パティスリーでは必ず古典菓子をチェック。
また、食べるのはもちろん、作ることも大好き! 得意なお菓子は、ロールケーキ。
バッグに収納可能なチーズケーキ
駅構内ということで、土産として選ばれるものがいい。どんな土産なら喜ばれるのか?と考えたシェフ。「見た目のインパクトも必要。大きくて平たくてピザみたいな形のチーズケーキがあったら楽しいだろうなと思って」。そうして生まれた「デュデュ」は、厚さ2cm×直径20cmという薄型サイズになりました。ビジネスマンが取引先への手土産として買い求め、ビジネスバッグに収めて持って行くことも多いそうです。
生ケーキの場合、大阪から遠方へ帰る人は、日持ちや持ち運びの手間を思い、購入を断念しがちです。そこで試作段階で、焼き上げたチーズケーキの冷凍を試しました。焼き上がったチーズケーキを3日間冷凍庫で、しっかりと凍らせます。焼き立てのものと3日間冷凍してから、解凍したものを食べ比べてみると、味わいの濃厚さは冷凍した方が増していたのです。「冷凍している間に、熟成が進んでいるんです」と林シェフ。食べるときは冷蔵庫で2~3時間解凍します。「1日くらい冷蔵庫で置いてもらうと、より美味しいですよ」。なめらかな食感と、チーズそのものを食べているかのような濃厚な風味。リッチなコクはゴルゴンゾーラチーズを使用しているからなのです。
好評を得て、その後「デュデュ」をコンパクトにした(2cm×12センチ)の「ポシェット」が発売されました。プレーンタイプの「ゴルゴンゾーラ」のほか、コンフィチュールが入った「ポンム」、「マロン」、「プリュノー」の4種です。さらに2ヶ月ごとに季節のフルーツ(白桃、いちぢく、洋ナシなど)を使った期間限定味でバリエーションも展開中。コンパクトでも楽しみの幅は広い、中身がぎゅっと詰まったチーズケーキなのです。

(左)デュデュ2300円。当初は大阪駅とインターネット通販のみで取り扱っていたが、本店で焼いているところを見たお客さんから売って欲しいという要望が多く、10月から本店でも取り扱うように。すぐに食べたいという方には冷凍熟成した後に、解凍したものも販売している。ポンム1200円。リンゴのコンフィチュールがチーズの酸味とほどよくマッチ。
(右)林 周平シェフ。「ニッコー・ド・パリ」「ジャン・ミエ」で修業。帰国後「舞子ヴィラ」他で製菓長を務めた後、05年独立。お菓子づくりはもちろん、パッケージデザイン、店舗デザインなども含め、広い視野でモノづくりに取り組む。

デュデュは、帯びも縦に持つようにデザインされている。
コンパクトサイズのポシェットは各1200円。4個セットも販売。

休日などはイートインを待つお客の列ができる。
店舗詳細
住所:兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-17
電話:078-321-1048
営業時間:10:00~19:00 火曜休


三好彩子(みよしあやこ):フードライター&エディター
フリーランスのフードライター&エディターとして、食雑誌を中心に活動中。
スイーツでは、コンビニやスーパーに並ぶ一般流通菓子から、カフェ・気鋭のパティスリーまで、話題の新作は欠かさずチェック。ショコラをこよなく愛する。神戸市在住。






