milano

ワインの芳香で勝負!「レチョート」のスイーツ

イタリアを代表するヴェネト州ヴァルポリチェッラ地域の特産ワイン「アマローネ」は日本でも良く知られていますが、その姉妹ともいえる「レチョート」ワインを使用したスイーツに出会いました。

レチョートもアマローネ同様、陰干し乾燥ぶどうから作られます。ドライフルーツ典型の凝縮された芳香が特徴で、糖度を高めた乾燥ぶどうの発酵を途中で止めてぶどうの糖分を多く残した貴重な甘口デザート赤ワインです。

今年はアマローネ、レチョート共に念願のワイン最高各付けのDOCGを獲得。DOCG認定記念パーティーに、そのスイーツはありました。まずレチョート風味のパネットーネ!このスカルパート社は昨年冬のロンドン、ハロッズ百貨店においてベストパネットーネ賞第一位受賞。ヴェローナ出身のマルコ・フェラレーゼ社長が地元産のこの重要なワインにヒントを得て考案したパネットーネは、フィリングにレチョートワインのゼリーを注入したもの。生地に加える干しぶどうもレチョートワインに24時間漬けてあります。

切り分けた瞬間に広がるワインの香りの素晴らしさといったら。注入されたゼリーのとろみがほどよくパネットーネに潤いを与えています。ワインに熱を通しすぎないのが風味を保つコツとか。ゼリーは樽ワインでなく高価なボトルワインを毎回開けて作るのだそう。ワイン大好きという社長ならではの発想ですね。

もうひとつ、DOCG認定記念ガラディナーの宴席のデザートについて、ケータリングを担当したエリートサービス社パートナーシェフのヴィタンジェロ・ガルッツイ氏にお話を伺ってみました。デザートは「ヴァルポリチェッラ地区のレチョートワイン風味のティラミス、洋梨のシロップ漬けとアーモンドチョコレート添え」と名付けられ、このディナーのために特別に考案されたもの。

「チョコレートは赤ワインには合わないようですが挑戦しました。ティラミス部分には牛乳の代りにレチョートワインを使用。材料は他に卵、コーンスターチ、生クリーム、砂糖、洋梨。洋梨は、カリカリした感触が欲しかったのでカイザー種を選びました。仕上げにレチョートワインを煮詰めたソースをあしらいました。美しい濃紫色でレチョートの凝縮した芳香が楽しめます。元々甘いデザートワインなのでソースに加糖はしてません。140人分のデザートは3人で担当しました。」

確かにこのデザートが運ばれてきた途端に香りがフワッと周辺に漂ったほどです。

「当日、宴会の直前に作る新鮮さが勝負でした。作り置きして冷凍したものだったらワインの風味があそこまで保てたかどうか……」。

失礼は承知で思い切って質問。「あの見かけからすると想像を超える美味しさでしたが…」シェフ曰く「(笑)それでいいんです。洗練した正確な仕上げをすることは勿論可能ですが、今回はティラミスという家庭の味のデザートですから、わざと手作り風の素朴さを残したのですよ。エレガントではないデザートなんです。」そういえばお料理も全てざっくり野暮ったい見かけでいながら、美味さが際立ってました。コンセプトの統一ですね。

「当初イチゴを使ってみたのですが、美味しいけれど何か違うと4回目の試みで洋梨を使い、レチョートにぴったりはまる自分の考え通りのデザートが出来ました。」

美味しいスイーツの背景には、常にたゆまぬ努力と情熱がありました。

レチョートやアマローネワインの製造のために収穫ぶどうは風通しの良い棚で乾燥させます。干しぶどうにすることにより糖度が高まりドライフルーツ特有の芳香が醸し出されます。



イタリアでもやはりそれなりのお値段のレチョートワイン。店頭で25ユーロから中には350ユーロという稀少品も。デザートに使うのって贅沢で素敵。Cesari社の画像はまだDOCですね。2010年度、快挙DOCG認定!



製菓業の盛んなヴェローナ市のScarpato社の自慢のレチョートゼリー入りパネットーネ。アマローネヴァージョンもありますが、甘口レチョートワインがより製菓にふさわしいそうで。



Elite Service社の見かけからは想像のつかない素晴らしい芳香と舌触りのレチョートワイン風味のデザート。新鮮さが勝負という意味が実感できる逸品です。個人的にはチョコ部分は無くても充分な感じ。


神林充香

神林充香(かんばやしみつか):グルメライター

ミラノ在住19年。学生時代のグルメ好きが嵩じ今やイタリアのレストランガイドブックに寄稿。歴史と風土に根ざしたイタリアの伝統食、食材に尽きない興味が。イタリア全国オリーブオイル試飲員協会メンバー、国立記者協会、外人記者クラブ会員。皆様のご意見ご要望をお知らせ下さい。


PAGE TOP
Ads by Glam