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老舗ジェラートの純な味 「TOLDO」

久々に、「継続は力なり」という言葉を思い出しました。ミラノ市の中心地、ブレラ地区はジェラート激戦区と言ってよい程、近年、新ジェラート屋のオープンが非常に活発な地域です。その中で1950年代開業のジェラート屋を受け継いだベリア氏の、2代目となる息子達が伝統の製法により後続の店とはひと味もふた味もちがうジェラートを作り続けています。

ミラネーゼにとって「TOLDO(トルド:創業者の苗字)」とは、ミラノのジェラートの老舗を代表する名前。ショーケースとバーカウンターと小さな店の奥にジェラート工房があり、次男のロベルトさんとアシスタントの二人が毎早朝6時からジェラート作りに励んでいます。季節ごとのフルーツを中心に40種のフレーバーを揃えています。

冬季は、生クリーム多めのパルフェタイプ、当店名物の特製“セミ・フレッド”(モノポーション15種)、夏季は5月から9月末まで、グラニータが登場します。夏のジェラートの果物は桃、木イチゴ、チェリー、苺、マンゴー、ピンク・グレープフルーツの果汁で作ったものが特に人気。「今年は雨量が多かったせいかアプリコットの出来がもうひとつで、気に入らなかったので作らなかった」というこだわりよう。

イタリア人に好まれるフレーバー第1位のチョコ味は、子供の好みも尊重してミルク多めのソフトな味も用意しているそうです。保存料もエッセンスも添加物も一切加えません。粘着剤は、海藻やイナゴ豆原料の天然由来のもののみ使用。なるほど、これで子供から病人まで安心して食べられる訳ですね。

特筆すべきは、50年以上前に創業者トルドさんから受け継いだという先代の特別レシピ。フレーバーは、何と”リクリツイア”。日本にはなじみの薄いこの風味は、甘草と訳すのでしょうか、薬っぽい風味と苦みでイタリア人はやみつきになる不思議な味。

「おそらくミラノでこの手間ひまかかるリクリツイア風味のジェラートを作れるのは、おそらくうちだけだろう」と兄のジョヴァンニさん。引っ越ししても、持帰りボックスにこの味だけをまとめ買いに来る顧客もいるそうです。

「ジェラートは太るというけど、うちの果物を使ったジェラートは脂肪分は最高6〜7%で、カロリーは他店よりずっと低い。糖尿患者もOKの果糖使用のものもある。うちは舌で感じるジェラートの冷たさと新鮮さを大切にしているんだ。牛乳を加えるだけで誰でもすぐできるジェラートの素なんか使用しない。クリーミーなのが今のトレンドだから大衆に好まれる味でないかもしれない。でもうちのお客さんは裏切らない。他店と比較すればすぐわかるが、うちのジェラートは温度が低い、凝固材などを入れてないからね。バスケット容器に入ったジェラートが膨らんでないでしょ?」なるほど!

「正確さと情熱が必要とされる仕事だよ。2年位で飽きてしまう性格なら止めたほうがいい。」と州立職業学校で教えていたロベルト先生。「仕事が終わっても常にジェラートの事を考えている。楽しいよ。」40年この道一筋で看板を守り、トレンディな後続店にも差をつけている秘密はここにありました。

(左)カフェを頼むと付いてくるセミ・フレッドのミニ・ボール。メレンゲとナッツ風味の2種があります。カフェの芳香によくマッチする嬉しい心使い。店頭でも購入可。
(右)今年の新製品「アイス・エヴァーグリーン・バー」。日本のガリガリ君にも負けない美味しさ!こちら無添加果汁。手前から桃、スイカ、オレンジ、レモン、グレープの5種味。



社長のジョヴァンニさん自らエプロン姿で店頭に立ちお客さんに接します。丁寧に作って丁寧に売ってるのが伝わります。統計によるとイタリア人はコーン派が、ややカップ派を上回るそうな。



照れ屋な二人。弟のロベルトさんが製造責任者、兄のジョヴァンニさんが社長業です。ロベルトさんは建築業界からの即転業、ジョヴァンニさんは英文学士で近年3冊のミステリー小説を出版してます。イタリア人て多才。。。



地元トリオ。毎日ランチ後に立ち寄るそうです。イタリア男って本当に”ジェラート喰い”です。(2008年7月号も参照下さい)

ご覧下さいませ、この賑わい!ランチ後は昼のゴールデンタイムです。男性が多いですよね。取材半ばで弾き出されてしまいました。

店舗情報

名称:TOLDO
住所:Via Ponte Vetero N.9
電話:02-8646-0863
営業時間:08:00〜21:00
定休日:年中無休

神林充香(かんばやしみつか):グルメライター

ミラノ在住20年。学生時代のグルメ好きが嵩じ今やイタリアのレストランガイドブックに寄稿。歴史と風土に根ざしたイタリアの伝統食、食材に尽きない興味が。皆様のご意見ご要望をお知らせ下さい。


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