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「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」の 巨大さくらんぼ! “フォレ・ノワール”

今年は「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」を2度も取り上げています。新古典菓子(クラシック・ルヴィジテ)特集と、サロン・ド・テを併設した2号店をオープンした際のインフォメーション(⇒過去記事へ)でした。そして今回は、そのラ・パティスリー・デ・レーヴが昨年クリエイトして話題をさらった、クラシック・ルヴィジテの“フォレ・ノワール”を紹介したいと思います。

昨年9月にオープンして以来、パリ中の人気をさらっているこの店。美味しさもアイディアもずば抜けて洗練されていて、パリにおいては今や注目度ナンバーワンではないでしょうか。さらにまた、新しいショップのプロジェクトが進んでいるなど、来年も目が離せません。

さて、その話題のフォレ・ノワール。昨年、鮮烈に登場したのですが、数をあまり作らなかったことと、クリスマス前だけの期間限定だったということもあり、食べた人たちの情報が行き交うばかりで、預かれなかった人たちが悔しがるという、すでに伝説のお菓子になっていました。それが今年も12月頭から店頭に並ぶという朗報!去年のリベンジを図ろうとする人たちが続出しているようです。

“フォレ・ノワール”とはフランス語で“黒い森”を指します。フランスの東、アルザス地方から国境を超えたすぐそばの、ドイツ南西にある森の名前がフォレ・ノワールといって、ドイツ語でいうと“シュヴァルツヴァルト”になります。フランスで例えば、どんなパティスリーでもエクレアを見かけるように、フォレ・ノワールは、どこのパティスリーでも必ず作る国民的なお菓子。20世紀前半に、ドイツで生まれたパティスリーでした。

もともとドイツでは、チョコレートを加えたクレーム・シャンティイに、グリオット種のサクランボのキルシュ漬けを添えて(因みに、フォレ・ノワールの名産はサクランボです)、さらにキルシュをふっていただくというのが、伝統的なデザートだったそうですが、1915年、ボンのそばの町に今もあるカフェ・レストラン“カフェ・アグネ”のシェフ・パティシエだったジョセフ・ケレールという人が、今のフォレ・ノワールの原形となるものを作ったそうです。

そのカフェ・レストランでは、昔ながらの伝統的なそのデザートを出していたのですが、あまりにも美味しかったので、ある人が、お持ち帰り用を作れないかと頼んだそうです。そこで、その伝統的なレシピにチョコレートのジェノワーズ生地を加えて、持ち帰ることのできるパティスリーにしたのが、最初のフォレ・ノワールだったということです。

カカオのジェノワーズの層に、バタークリームか生クリーム、キルシュ漬けのサクランボを挟み、さらに全体をクリームで覆い、削ったチョコレートとサクランボで飾り付けたのがクラシックなフォレ・ノワール。ドイツ近隣のアルザス地方ではよく見かけます。パリでもかなり昔は作っているお店も多かったのですが、最近はすっかり見かけなくなっていました。ところが、なぜか今年は“エディアール”もフォレ・ノワールのブッシュ・ド・ノエルを出したり、“ボン・マルシェ”、“カール・マルレッティ”でもフォレ・ノワールを出すなど、新古典菓子として復活しています。そんな火付け役となったのが、ラ・パティスリー・デ・レーヴのフォレ・ノワールかもしれません。

このフォレ・ノワールの驚きはまずはその形です。なんとリンゴくらいの大きさ、サクランボを象った形ということ。そしてナパージュで覆われ、つややかに光っています。フォレ・ノワールと聞いてサクランボの形なんだ、と想像できたときの感動といったら!

それは、薄手のチョコレートの殻で覆われていました。2つに割ると、甘さ控えめフレッシュなホイップクリームがたっぷり。その中にはしっかりとカカオが香る、しっとり柔らかなジェノワーズ生地と、サクランボのコンポートが層になって現れました。コンポートはキルシュ酒で味わいを高めたアマレーナ、フルール・ド・セルのお陰で、甘味と酸味が引き立っています。これらすべては、チョコレートのムスリーヌクリームで包まれているので(殻の内側を薄く覆っているのです)、まるで大きな“ボンボン・ショコラ”といってもいいでしょうか。

しかし、しっかりと伝統的なフォレ・ノワールの味わいを踏襲していて、懐かしさも誘うのです。この夢のようなサクランボデザートは2人分(19ユーロ)。まるでおとぎ話から現れたような、夢のようなケーキです。

ナパージュでチョコレートの殻を覆った、つやつやとしたサクランボ形のパティスリーは、その見た目でまず驚きを誘います。大きさは大きめのリンゴくらい。



カカオ風味のジェノワーズ生地にサクランボのコンポートを重ね、シャンティイクリームを挟んだクラシックな組み合わせだけれど、甘さ控えめ、塩味もきかせて、とても軽やかな味わいに仕上がっています。




16区ロンシャン通りの2号店。1号店は7区バック通りの93番地にある。パティスリーはもちろん、いずれも夢の溢れる、肩の力が抜けたモダンな空間作りで、人気をさらっています。


店舗詳細

名称La Pâtisserie des rêves
住所:111 rue de Longchamp 75016
営業時間:8:00~20:00 月曜休
http://www.lapatisseriedesreves.com/

伊藤文(いとうあや):料理ジャーナリスト

1993年渡仏。コルドンブルー料理学校パリ校卒業後、
フランスの食文化を掘り下げる取材を重ねる。
著書に『フランスお菓子おみやげ旅行』、訳書に『招客必携』、『ロブション自伝』など多数。


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